バイクは車以上にメンテナンスが重要。
バイクは車と違い、各機械部分がむき出しとなっており、常に熱、風、雨等の影響を受けている乗り物です。そのため、車よりも、マメに自分で点検やメンテナンスを行わないと、最悪メンテナンスを怠ったことによる事故の発生にもつながりかねません。
バイクのメンテナンスは、バイク屋さんにお願いしないといけないというイメージですが、最低限の点検やメンテナンスであれば、自分で行うことができます。
ここでは、僕が80年式の旧車CM400Tと93年式のゼルビス250、また、過去に94年式のジェイド250を所有した経験から、最低限自分でこのメンテナンスはしたほうが良いと思うものを紹介したいと思います。どれも、初心者であっても出来るメンテナンスだと思いますので、参考にしていただけたらと思います。
最低限のメンテナンスを行っていれば、大きな故障は避けられる。
あくまで僕の経験からですが、この後に紹介する最低限のメンテナンスを行っていたため、今までバイク屋にお世話になるような故障は無かったです。
もちろん、点検やメンテナンスを行っていても、予期せぬトラブルはバイクにはつき物です。ウインカーが切れたり、ヒューズが飛んだりすることは、なかなか事前の点検では予防できません。
しかし、点検やメンテナンスを行えば、ツーリング先での大きなトラブルのほとんどは防ぐことが出来ると思います。
また、メンテナンスを怠ったことが原因での故障は修理費が高額になってしまうことが多いので、バイクに乗るなら点検、メンテナンスは行うようにしましょう。
ツーリング前に僕がやっている点検、メンテナンス。
【チェーン張りの調整】
チェーンは自分で意識していなければ、伸びてしまったことに気づきにくいものです。一度ロングツーリングを行っただけでもチェーンは伸びてしまいます。チェーン過度に伸びたまま走行してしまうと、変速時のロスやバイクの強みである機動力が劣るだけではなく、最悪チェーンがスプロケットから外れてタイヤがロックして大事故につながりかねません。
逆にチェーンの張りすぎも危険で、リアサスペンションが可動した際に、チェーンの一部のみを伸ばしてしまったり、チェーンが切断したりする原因にもなります。
毎回ツーリング前に点検を行い、チェーンを適切な張り具合に調整しましょう。ちなみに車種ごとに違いますが、一般にチェーンの張り具合は、チェーンの真ん中の上下の振れ幅が2~2.5cm程度とされています。
僕はチェーンを調整した際、一緒にチェーンの清掃とグリスアップもしています。
【クラッチワイヤーのダメージ確認】
下記のこれまで僕が経験したトラブルでも話しますが、クラッチワイヤーにダメージがあると、走行中、クラッチレバーを握った際に「スルッ」とワイヤーが切れることがあります。
クラッチワイヤーが切れると走行できなくなります。(まあ、荒業で走れないこともありませんが)
こういったトラブルを防ぐために、クラッチレバー付近のワイヤーに擦り傷が無いか、ワイヤーとクラッチレバーの角度に無理が無いか、また、ワイヤーのグリス(オイル)が切れてないか等を確認して、傷があれば交換したり、グリスアップしておきます。
なお、ワイヤーに給油する際は専用のグリス(オイル)にします。流れやすく、ワイヤーに留まるものでなければいけません。
【ブレーキパッドの点検】
ブレーキパッドも残量を確認しておきましょう。ブレーキパッドは気づかないうちに結構減っていて焦ることがあります。
【タイヤ空気圧点検】
最後はタイヤの空気圧を確認して準備完了です。僕はタイヤの空気圧は車種ごとの規定値から、少しだけ多めくらいの間で入れています。ただ、空気圧が高すぎるとタイヤと路面の接地面積が小さくなり、グリップ力が低下したり、後輪であれば、タイヤの中心部分が早く磨耗してタイヤの寿命を短くする原因にもなるので気をつけましょう。
また、ツーリング時には携帯用空気入れを持っていくと安心です。コンパクトなので邪魔になりません。下記の空気入れを使っています。押しても引いても空気が入る優れものです。
【ブレーキフルードの点検】
年に数回しか乗らないバイクの場合、ブレーキフルードが劣化(透明から茶色になっていたら交換)していないか確認しましょう。ブレーキフルードは空気中の湿気を吸ったり、ブレーキングで熱が入ることにより劣化していきます。
ブレーキフルードって交換しなくても問題ないと思うかもしれませんが、交換後に走行するとブレーキの利きが向上していることに気づきます。それだけ、ブレーキフルードの劣化によりブレーキ本来の性能が低下しているのです。
目安としては、2年に1回は交換するのがベターです。
【エンジンオイルの定期的交換】
エンジンオイルはツーリング前というよりも約3000kmもしくは2年程度で必ず交換しています。バイクは車よりも高回転域を駆使するため、メーカー推奨の交換サイクルよりも気持ち早めの交換を心がけています。エンジンオイルを定期的に交換するだけでも、エンジンのトラブルのほとんどは回避できるはずです。また、ツーリング前には、オイルレベルは念のために確認して、適正なオイル量を維持しておきましょう。
【バッテリー残量】
これも下記で話しますが、バッテリーは突然死にます。バッテリーがダメになったら、走行もはできるものの、ライトやウインカーが正常に発光しなかったり、一度エンジンを停止すると、セルスイッチではエンジン始動できなくなります。
ツーリング前にはバッテリーを満タン充電することや、充電してもセルモーターの回りが弱かったら、バッテリーの寿命ですので新品バッテリーに交換しましょう。
旅先でバッテリーがダメになったら、ホームセンターやバイク屋等で定価の高いバッテリーを購入せざるを得なくなります。バッテリーは消耗品なので、出来るだけ安く買うとバイクの維持費を抑えられます。
これまで経験したトラブルから考察するメンテナンス
ここからは、僕が今まで経験したトラブルについて、どういう症状なのか、どう対策すればよかったのか等について解説します。
【オイル漏れ】
オイル漏れは、今まで乗った3台のバイク全てで経験しました。バイクではオイル漏れはよくおきるトラブルです。
①オイルフィルターからのオイル漏れ
ある日駐車場の地面に、エンジン下にあるオイルフィルターが取り付けてあるカップからポタポタと目で見て分かるほどエンジンオイルが漏れていました。
原因はオイルフィルター交換時にカップのオイルシールを再利用したためかと思います。新しいオイルシールに交換したらオイル漏れは止まりました。
オイルシールはエンジンの熱により変形するものと考えられます。そのため、オイルシールを取り外すような作業をした際には、必ず、オイルシールも新品に交換しておくことでオイル漏れは防ぐことが出来ます。
②フロントフォークからのオイル漏れ
フロントフォークからブレーキキャリパーにかけて、オイルが流れ出てた跡がありました。危ない!
よく見ると、フロントフォークの伸縮部分から薄っすらと漏れています。さらに、フォークを車体を前後に揺すってみると、オイルが滲み出てきました。
原因は、伸縮部分のダストカバーを取り外した中にあるオイルシールの劣化でした。ダストカバーもひび割れていたので、恐らく砂が混入してオイルシールを傷つけたことによる物だと思います。
少し前に北海道の高原温泉までの荒れ道を走ったのでそれが原因でしょう。
これはもう、オイルシールを交換することになります。僕はDIYで作業しましたが、時間と手間が掛かるので、バイク屋にお願いするのが確実でしょう。
予防としては、ダストカバーがひび割れていれば早めに交換することです。雨水が入っても、中の鉄製クリップが錆びて、その錆でオイルシールを傷つけることもあります。
③チェンジペダルからのオイル漏れ
変速する際に左足で操作するチェンジペダルの付け根から、オイルが漏れていました。
原因は分かりませんが、ある日漏れに気づきました。
エンジンに付く、駆動部からのオイル漏れなので、自分で治すのは無理かと思いましたが、調べてみるとエンジンをばらさずにオイルシールを外部から交換できるとのことで挑戦しました。結果は意外と簡単に交換できました。
方法は、先端をくの字に曲げた千枚通しで古いオイルシールを引き抜き、新しいオイルシールを叩き込むという手順です。
注意点は、オイルシールを取り外す際に、周囲のエンジンを千枚通しで傷つけてしまわないように慎重に行うことです。その他は特に難しい作業ではありませんでした。また、作業前にはエンジンオイルを抜いておくことですね。
【クラッチワイヤーの切断】
上記、ツーリング前の点検、メンテナンスでも解説しましたが、走行中にクラッチワイヤーが切れてしまい走行不能になり、初めてロードサービスを呼びました。
メンテナンス方法は上記をご覧ださい。
【スピードメーターワイヤーの切断】
このトラブルは2、3回ありました。
上記同様、たまには給油したり、フロントホイールにつながっている部分のワイヤーのたるみが無理の無い角度になっているか確認で予防することができると思います。
【キャブレターからのオーバーフロー】
長距離ツーリング中(阿蘇)に起きました。このときは凄く焦りました。たまたま、近くに車の整備工場があったため、どうにかたどり着くことができ、修理してもらいました。
原因はバルブにごみが挟まり、ガソリンの供給が止まらなかったためでした。
予防方法は、キャブレターまでの間にガソリンフィルターを追加することで、キャブレター内部へのごみの侵入を防ぐこと。その他、キャブの不調防止のため、長期間乗らないとき(冬眠)は燃料コックをoffにして、キャブレター下部のドレンボルト(マイナスドライバーで緩める)を緩めて、ガソリンを排出しておくことです。
【バッテリーの突然死】
ツーリング中に、バッテリーが終了しました。
バッテリーが死んでも一旦走り出せば、そのまま走ることは出来ますが、エンジンをかけるのに苦労します。キックがある車種なら良いですが、無ければ押しがけ。
予防策としては、乗らない時はバッテリーを外して充電保管すること。
また、密閉型よりも開放型(液注入)の方が長持ちする印象があり、感覚では1.5倍くらい寿命が違う気がします。エンジンが掛かりにくくなったなどの不調があればすぐにバッテリーが死ぬので、早めに新品バッテリーに交換したほうが良いですね。
バイクはメンテナンスを怠らなければ長く乗れる
15年バイクに乗って、ほとんどのトラブルは事前の点検やメンテナンスで対処できると思いました。エンジンは思った以上に丈夫にできているので、エンジンオイルの交換サイクルを守れば、無理な走りをしない限り大きなトラブルは少ないと思います。
80年式の空冷CM400Tですら、現在約8万キロ走行していますが、オイル交換のみでバイク屋に出すほどのトラブルはありませんでした。
上記で紹介した点検、メンテナンスは自分でも可能ですので、快適にツーリングするためにも、前日までには行うことをおすすめします。
消耗品の交換をケチったことが原因で、出費のかさむトラブルや事故につながってしまうことがあるので、ケチらずに消耗品は交換しましょう。